いちにち

わすれないように

12.25のこと

クリスマスなので、ジャニーズFCでHey!Say!JUMPのクリスマススペシャルムービーを見た。メンバー同士の私物交換会。わきあいあいほのぼのすぎて17分の動画が秒で終わった。歌を聞くくらいでメンバー同士の関係性を見たことがなかったので、とても楽しかった。

 

あと見にいけていなかった『夜、鳥たちが啼く』をぎりぎり見にいく。

1日1回上映になっていたのでなんとか間に合った。シネリーブル梅田はスカイビルにあるのだが、今年は大阪のスカイビルでクリスマスマーケットがなかったことに気づいた。コロナ前までよく行っていたのに、なんだか心が寂しかった。

(以前の写真)

 

『夜、鳥たちが啼く』は、若くして文学賞を取ったが今は売れない作家の慎一と、アキラという子連れで行くあてもない慎一の先輩の元奥さん、裕子の奇妙な擬似家族生活をする中で、希望をなくしていた慎一に生きる喜びが少し芽生えていくような話。

身体の関係がなかったらいいのにと見ながら思ったが監督が城定監督なのでもちろんあった。

本当になければよかったのに。

 

独立リーグの野球チームをひとりで見ることに自分を知らない大勢の中でたったひとりの孤独を感じる慎一。この気持ちは私もしていたからよくわかる。

その中でおそらくNPBから戦力外が出て夢を諦められずに独立リーグを転々としているバッターがいる。そのバッターはとても自暴自棄で試合の後のヒーローインタビューもインタビュアーのことも聞かず、言いたいことだけ言って去って行く。

そのあと、慎一とアキラと裕子でだるまさんがころんだで遊ぶシーンが出てくるのだが、その独立リーグのバッターが傷害罪で警察に捕まりそうなところに、アキラが無邪気な声で「だーるまさんがこーろんだ」と叫ぶ。慎一も一緒に。だるまさんがころんだは、過去の自分を見返す意味だと思った。今までは見返すことができなかった。それを笑いながらすることができた。

私は見ながら、夢を諦めきれない慎一と独立リーグのバッターのもどかしい関係が交錯して、慎一=バッターになったのだと思った。側から見るとこんなに自分は滑稽だ、と思ったのだと思った。

映画の中で裕子は慎一の小説が私小説であること、その小説を裕子は読みたいことを何度も伝える。慎一の元恋人とはそういうシーンがなかったので、慎一と裕子の欠けている心の部分を補おうと共依存のような関係で籍も入れず、今のまま一緒に3人で住もうと提案する。

ひとりでしか行かないと言っていた野球場にも一緒に行こう。海にも行こう。

慎一はこれからも小説を書くかもしれないし書かないかもしれない。でも慎一の見えなかった世界に光がさしてきたような映画だと私は思った。

 

しかし原作は売れない作家という設定ではなく、裕子が慎一を振り回すようで少し頭が混乱してしまった。映画では特に裕子は振り回してはいない。原作が読みたくなってしまった。(経験上こういう映画は読み返さないので買わないのが得策)

 

同じ作家で好きな映画『オーバーフェンス』がある。

はてしないくらい北海道の広い大地。その中の心の閉塞感。そこからの光。

『夜、鳥たちが啼く』はそこまでの閉塞感はないかもしれない。

こんな平和な状態は長く続かないかもしれない。元恋人にした執着からのDVは治らないと思う。でも少しでも光が慎一や裕子に降り注いで欲しい、そう思った。

 

最後に途中で気づいたが、山田裕貴の映画をまじまじと初めて見た。

ハイローの村山良樹のイメージが強かったが、こんな映画にまた出るならまた見たい、と思った。